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借地権の売却でよくあるトラブル7選|地主との交渉から解決策まで【2026年】

公開日:2026年03月07日

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借地権の売却が難しい理由

借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のことです。借地権付きの建物は、所有権の物件と比べて売却が難しいとされています。その主な理由は以下の通りです。

  • 地主の承諾が必要 — 借地権の売却(譲渡)には原則として地主の承諾が必要
  • 譲渡承諾料がかかる — 地主の承諾を得るために「名義変更料」の支払いが必要
  • 購入者が限定される — 借地権の仕組みを理解している買主が少ない
  • 住宅ローンが使いにくい — 金融機関が借地権物件への融資に消極的
  • 契約条件が複雑 — 地代・更新料・建替え条件など確認事項が多い

しかし、適切な知識と対策があれば、借地権の売却は十分に可能です。本記事では、借地権売却時によくある7つのトラブルとその解決策を詳しく解説します。

借地権の売却でよくあるトラブル7選

トラブル①:地主が売却(譲渡)の承諾をしてくれない

借地権売却で最も多いトラブルが、地主が譲渡を承諾しないケースです。地主が承諾を拒否する理由としては、以下のようなものがあります。

  • 新しい借地人の信用性に不安がある
  • この機会に土地を返してほしいと考えている
  • 承諾料の金額で折り合いがつかない
  • 地主自身が借地権を買い取りたい
  • 感情的な理由(借地人との関係悪化など)

【解決策】

地主が正当な理由なく承諾しない場合は、借地借家法第19条に基づく「借地非訟手続き」を裁判所に申し立てることができます。裁判所が地主の承諾に代わる許可を出してくれるため、地主の意向に関わらず売却を進めることが可能です。

ただし、借地非訟手続きには6ヶ月〜1年程度の期間がかかるため、まずは話し合いでの解決を目指しましょう。間に不動産業者や弁護士を入れることで、スムーズに承諾が得られるケースも多いです。

トラブル②:譲渡承諾料(名義変更料)が高額すぎる

地主が承諾する条件として、高額な譲渡承諾料を要求するケースがあります。

一般的な譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%程度です。しかし、法律で金額が定められているわけではないため、地主によっては20〜30%以上を要求する場合もあります。

【解決策】

  • まずは相場(借地権価格の10%前後)を根拠に交渉する
  • 交渉が難航する場合は、不動産鑑定士に適正額の鑑定を依頼する
  • 借地非訟手続きを利用すれば、裁判所が適正な承諾料を決定してくれる
  • 買取業者に売却する場合、承諾料の交渉を業者が代行してくれることもある

トラブル③:借地権の契約書が見つからない

古い借地権の場合、契約書が存在しない、または紛失しているケースが珍しくありません。特に戦前から続く借地権では、口頭の約束だけで成立しているケースもあります。

【解決策】

  • 契約書がなくても、借地権自体は有効です(地代の支払い実績や建物の登記が証拠になる)
  • 地主と協議して、現在の条件を書面にまとめ直す
  • 不動産業者や弁護士に相談して、契約内容の確認・整理を行う
  • 法務局で土地・建物の登記簿謄本を取得し、権利関係を確認する

参考: 法務局 — 不動産登記に関する手続き

トラブル④:地主が「更地にして返せ」と要求する

借地権を売却しようとした際に、地主から「建物を取り壊して更地にして土地を返してほしい」と言われるケースがあります。

【解決策】

  • 借地契約の存続期間中であれば、借地人には借地権を売却する権利がある
  • 地主の「更地返還」の要求に応じる義務はない(契約条件による)
  • ただし、契約期間満了時に更新しない場合は、建物買取請求権(借地借家法第13条)を行使して、地主に建物を時価で買い取ってもらうことができる
  • 地主との関係が悪化している場合は、弁護士を交えた交渉が有効

トラブル⑤:借地権の評価額で揉める

借地権の評価は複雑で、売主・買主・地主の間で評価額が大きく食い違うことがあります。特に以下のような要素が評価に影響します。

  • 借地権割合(路線価図で確認可能)
  • 契約の残存期間
  • 地代の水準(相場と比べて安いか高いか)
  • 更新料の有無と金額
  • 建物の築年数・状態
  • 建替え・増改築の可否

【解決策】

  • 不動産鑑定士に正式な鑑定評価を依頼する(費用は20〜50万円程度)
  • 国税庁の路線価図で借地権割合を確認する(あくまで税務上の目安)
  • 複数の買取業者に査定を依頼して相場感をつかむ
  • 借地権専門の不動産業者に相談する

トラブル⑥:買主が見つからない(借地権が売れない)

借地権付き建物は、所有権の物件と比べて購入希望者が少ないのが現実です。特に以下のような条件の物件は売却が長期化しやすくなります。

  • 築年数が古く、建物の価値が低い
  • 地代が相場より高い
  • 契約の残存期間が短い
  • 建替え・増改築に制限がある
  • 地主との関係が悪い
  • 郊外で需要が少ない地域

【解決策】

  • 借地権専門の買取業者に売却する — 最も確実で早い方法
  • 地主に買い取ってもらう — 地主にとっては完全な所有権を回復できるメリットがある
  • 地主と共同で売却する — 底地と借地権を同時に売却することで、所有権として高値で売れる
  • 等価交換 — 借地権と底地の一部を交換し、それぞれが完全な所有権を持つ部分を作る

トラブル⑦:地代の滞納がある

地代を滞納している状態で借地権を売却しようとすると、地主から契約解除を主張されるリスクがあります。

【解決策】

  • 売却前に滞納分を清算するのが最優先
  • 清算が困難な場合は、売却代金から滞納分を精算する条件で交渉する
  • 買取業者に相談すれば、滞納がある状態でも買取に応じてくれる場合がある
  • ただし、長期滞納(3ヶ月以上)の場合は信頼関係の破壊として借地権自体が消滅するリスクがあるため、早急な対応が必要

地主の承諾が得られない場合の最終手段 ― 借地非訟手続き

地主との交渉がどうしてもまとまらない場合に利用できるのが、借地非訟手続き(しゃくちひしょうてつづき)です。

借地非訟手続きとは

借地借家法第19条に基づき、地主が借地権の譲渡を承諾しない場合に、裁判所に「地主の承諾に代わる許可」を求める手続きです。裁判所が許可を出せば、地主の同意がなくても借地権を売却できます。

手続きの流れ

  1. 管轄の地方裁判所に申立書を提出
  2. 裁判所が地主に通知、意見を聴取
  3. 鑑定委員会による借地条件・承諾料の調査
  4. 裁判所が許可の可否と条件(承諾料の額など)を決定
  5. 許可が出れば、決定された条件で売却を進める

借地非訟のメリット・デメリット

メリットデメリット
地主の承諾がなくても売却可能手続きに6ヶ月〜1年以上かかる
裁判所が適正な承諾料を決定弁護士費用がかかる(30〜80万円程度)
法的に確定した権利となる地主との関係がさらに悪化する可能性
介入権の行使で地主が買い取るケースも裁判所が許可しない場合もある

なお、地主には「介入権」(借地借家法第19条第3項)があり、裁判所の許可に対して「自分が買い取りたい」と申し出ることができます。この場合、裁判所が定めた価格で地主が借地権を買い取ることになります。

参考: 国土交通省 — 借地借家法の概要

借地権の売却相場

借地権の売却相場は、更地価格×借地権割合が基本的な目安です。ただし、実際の取引では様々な要素が価格に影響します。

借地権割合の目安

地域借地権割合備考
都心の商業地80〜90%銀座・新宿など
都心の住宅地60〜70%世田谷・目黒など
郊外の住宅地40〜60%多摩地域・千葉など
地方都市30〜50%地域差が大きい

※国税庁の路線価図でA(90%)〜G(30%)のアルファベットで借地権割合が表示されています。

買取業者への売却価格

買取業者に売却する場合、上記の借地権価格からさらに20〜30%程度低い価格になることが一般的です。これは業者が再販にかかるリスクやコストを見込むためです。ただし、以下のような条件であれば高値が期待できます。

  • 立地が良い(駅近・都心部)
  • 契約の残存期間が長い(20年以上)
  • 地代が相場より安い
  • 建替えや増改築が可能な契約条件
  • 地主との関係が良好

借地権をスムーズに売却する5つのコツ

コツ①:地主との関係を良好に保つ

借地権売却の成否は、地主との関係性に大きく左右されます。日頃から地代を遅滞なく支払い、良好な関係を維持しておくことが重要です。売却の相談は早めに行い、地主の意向も尊重する姿勢を見せましょう。

コツ②:借地権専門の業者に相談する

借地権の取引は特殊な知識が必要です。一般の不動産会社では対応が難しいケースも多いため、借地権専門の買取業者や仲介業者に相談しましょう。専門業者であれば、地主との交渉も代行してくれます。

コツ③:地主への売却を最初に検討する

意外に見落とされがちですが、地主に借地権を買い取ってもらうのは最も合理的な選択肢の一つです。地主にとっては完全な所有権を回復できるメリットがあり、承諾料も不要になります。

コツ④:底地との同時売却を提案する

地主が底地の売却を検討している場合、借地権と底地を同時に売却することで、所有権として高値で売れます。双方にとってメリットのある方法です。

コツ⑤:契約内容を事前に整理する

売却前に以下の情報を整理しておくと、査定がスムーズに進みます。

  • 借地契約書の内容(地代・更新料・建替え条件など)
  • 契約の種類(旧法借地権か新法借地権か)
  • 残存期間
  • 地代の支払い状況
  • 建物の状態・築年数
  • 増改築の履歴

旧法借地権と新法借地権の違い

借地権には旧法(借地法)新法(借地借家法)の2種類があり、売却時の条件が異なります。1992年(平成4年)8月1日より前に設定された借地権は旧法が適用されます。

項目旧法借地権新法借地権(普通借地権)
存続期間木造20年以上/鉄筋30年以上30年以上
更新後の期間木造20年/鉄筋30年初回20年、以後10年
更新拒絶正当事由が必要正当事由が必要
借地人の保護非常に強い強い
売却時の評価半永久的に更新可能→評価高め契約期間による

旧法借地権は借地人の保護が非常に強く、事実上、半永久的に更新が可能です。そのため、新法借地権と比べて売却価格が高くなる傾向があります。

よくある質問

Q. 借地権は地主の承諾なく売却できますか?

A. 原則として、借地権の売却(譲渡)には地主の承諾が必要です。ただし、地主が正当な理由なく承諾しない場合は、裁判所に「借地非訟手続き」を申し立てることで、地主の承諾に代わる許可を得ることができます(借地借家法第19条)。

Q. 借地権の売却相場はどのくらいですか?

A. 借地権の売却相場は、更地価格の50〜70%程度が一般的です。ただし、地域・契約条件・残存期間・建物の状態によって大きく変動します。都心部では借地権割合が高く、郊外では低くなる傾向があります。

Q. 地主に支払う譲渡承諾料の相場は?

A. 譲渡承諾料の相場は、借地権価格の10%程度が一般的です。ただし、法律で定められた金額ではなく、あくまで慣行です。地主との交渉次第で金額は変動します。

Q. 借地権が売れない場合はどうすればいい?

A. 借地権が売れない場合の選択肢としては、①借地権専門の買取業者に売却する ②地主に買い取ってもらう ③地主と協力して底地と借地権を同時売却する ④借地非訟手続きを利用する、などがあります。

Q. 借地権の売却にかかる期間は?

A. 地主の承諾がスムーズに得られる場合は1〜3ヶ月程度です。承諾が得られず裁判所の手続きが必要な場合は6ヶ月〜1年以上かかることもあります。買取業者への売却であれば、最短2週間程度で完了するケースもあります。

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✍️ この記事を書いた人

訳あり不動産相談室 編集部

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