借地権の売却でよくあるトラブル7選
トラブル①:地主が売却(譲渡)の承諾をしてくれない
借地権売却で最も多いトラブルが、地主が譲渡を承諾しないケースです。地主が承諾を拒否する理由としては、以下のようなものがあります。
- 新しい借地人の信用性に不安がある
- この機会に土地を返してほしいと考えている
- 承諾料の金額で折り合いがつかない
- 地主自身が借地権を買い取りたい
- 感情的な理由(借地人との関係悪化など)
【解決策】
地主が正当な理由なく承諾しない場合は、借地借家法第19条に基づく「借地非訟手続き」を裁判所に申し立てることができます。裁判所が地主の承諾に代わる許可を出してくれるため、地主の意向に関わらず売却を進めることが可能です。
ただし、借地非訟手続きには6ヶ月〜1年程度の期間がかかるため、まずは話し合いでの解決を目指しましょう。間に不動産業者や弁護士を入れることで、スムーズに承諾が得られるケースも多いです。
トラブル②:譲渡承諾料(名義変更料)が高額すぎる
地主が承諾する条件として、高額な譲渡承諾料を要求するケースがあります。
一般的な譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%程度です。しかし、法律で金額が定められているわけではないため、地主によっては20〜30%以上を要求する場合もあります。
【解決策】
- まずは相場(借地権価格の10%前後)を根拠に交渉する
- 交渉が難航する場合は、不動産鑑定士に適正額の鑑定を依頼する
- 借地非訟手続きを利用すれば、裁判所が適正な承諾料を決定してくれる
- 買取業者に売却する場合、承諾料の交渉を業者が代行してくれることもある
トラブル③:借地権の契約書が見つからない
古い借地権の場合、契約書が存在しない、または紛失しているケースが珍しくありません。特に戦前から続く借地権では、口頭の約束だけで成立しているケースもあります。
【解決策】
- 契約書がなくても、借地権自体は有効です(地代の支払い実績や建物の登記が証拠になる)
- 地主と協議して、現在の条件を書面にまとめ直す
- 不動産業者や弁護士に相談して、契約内容の確認・整理を行う
- 法務局で土地・建物の登記簿謄本を取得し、権利関係を確認する
参考: 法務局 — 不動産登記に関する手続き
トラブル④:地主が「更地にして返せ」と要求する
借地権を売却しようとした際に、地主から「建物を取り壊して更地にして土地を返してほしい」と言われるケースがあります。
【解決策】
- 借地契約の存続期間中であれば、借地人には借地権を売却する権利がある
- 地主の「更地返還」の要求に応じる義務はない(契約条件による)
- ただし、契約期間満了時に更新しない場合は、建物買取請求権(借地借家法第13条)を行使して、地主に建物を時価で買い取ってもらうことができる
- 地主との関係が悪化している場合は、弁護士を交えた交渉が有効
トラブル⑤:借地権の評価額で揉める
借地権の評価は複雑で、売主・買主・地主の間で評価額が大きく食い違うことがあります。特に以下のような要素が評価に影響します。
- 借地権割合(路線価図で確認可能)
- 契約の残存期間
- 地代の水準(相場と比べて安いか高いか)
- 更新料の有無と金額
- 建物の築年数・状態
- 建替え・増改築の可否
【解決策】
- 不動産鑑定士に正式な鑑定評価を依頼する(費用は20〜50万円程度)
- 国税庁の路線価図で借地権割合を確認する(あくまで税務上の目安)
- 複数の買取業者に査定を依頼して相場感をつかむ
- 借地権専門の不動産業者に相談する
トラブル⑥:買主が見つからない(借地権が売れない)
借地権付き建物は、所有権の物件と比べて購入希望者が少ないのが現実です。特に以下のような条件の物件は売却が長期化しやすくなります。
- 築年数が古く、建物の価値が低い
- 地代が相場より高い
- 契約の残存期間が短い
- 建替え・増改築に制限がある
- 地主との関係が悪い
- 郊外で需要が少ない地域
【解決策】
- 借地権専門の買取業者に売却する — 最も確実で早い方法
- 地主に買い取ってもらう — 地主にとっては完全な所有権を回復できるメリットがある
- 地主と共同で売却する — 底地と借地権を同時に売却することで、所有権として高値で売れる
- 等価交換 — 借地権と底地の一部を交換し、それぞれが完全な所有権を持つ部分を作る
トラブル⑦:地代の滞納がある
地代を滞納している状態で借地権を売却しようとすると、地主から契約解除を主張されるリスクがあります。
【解決策】
- 売却前に滞納分を清算するのが最優先
- 清算が困難な場合は、売却代金から滞納分を精算する条件で交渉する
- 買取業者に相談すれば、滞納がある状態でも買取に応じてくれる場合がある
- ただし、長期滞納(3ヶ月以上)の場合は信頼関係の破壊として借地権自体が消滅するリスクがあるため、早急な対応が必要